大阪府職員採用試験を解いてみる
職員採用試験(大学卒程度)の情報分野の問題から
平成21年度
[問1]
(1) Aの固有値とA3-3A2+2A+Eの値
Aの固有値 t は |A-tE| = 0 より、(1-t)(2-t) = 0 ∴t = 1, 2
ケーリーハミルトンの定理より、A2-3A+2E = 0
したがって、A3-3A2+2A+E = A(A2-3A+2E)+E = E
(2) B3の値
だから
ここで(1)の結果より A
3 = 3A
2-2A = 3(A
2-3A+2E)+7A-6E = 7A-6E となって
したがって、
(3) Anをnで表す
とおくと、
a
n = a
n-1 = a
1 = 1
b
n = b
n-1 = b
1 = 0
c
n = 2c
n-1+2
c
n+2 = 2(c
n-1+2)
c
n+2 = 2
n-1(c
1+2)
∴ c
n = 2
n+1-2
d
n = 2d
n-1 = 2
n-1d
1 = 2
n
以上より、
[問2]
(1) Piの座標
Piのx座標xi、y座標yiはそれぞれAO、OBをi:n-iに内分する値をとるので、
xi=(n-i)/n*OA, yi=i/n*OB
∴ Pi(a(n-i)/n, bi/n)
(2) Snを求める
(3) を求める
(n→∞)
∴
[問3]
(1) P0(t+Δt) = P0(t)(1-λΔt)+P1(t)μΔt のように P1(t+Δt), P0(t), P1(t), P2(t) が満たす関係式
P1(t+Δt) = P0(t)λΔt+P1(t)(1-λΔt-μΔt)+P2(t)μΔt
(2) 定常状態 Pn(t+Δt) = Pn(t) でのPn-1, Pn, Pn+1の関係式
Pn = Pn-1λΔt+Pn(1-λΔt-μΔt)+Pn+1μΔt
∴ Pn-1λ-Pn(λ+μ)+Pn+1μ = 0 (n≥1),
P1 = P0λ/μ
(3) ρ=λ/μとおくときP0=1-ρを示す
(2)より、Pn+1-Pn = ρ(Pn-Pn-1) = ρn(P1-P0) = ρn(ρ-1)P0
Pn = P0+∑ρn(ρ-1)P0 = P0+(ρ-1)P0(1-ρn)/(1-ρ) = ρnP0
∑Pn = 1 より、P0/(1-ρ) = 1
∴P0 = 1-ρ
[問4]
A=(5, 8), B=(6, 4), C=(4, 2), D=(8, 6), E=(3, 6)
(1) A, B, C, D, Eの順
5+8+4+8+6+6=37
(2) M1での加工時間が短い順
E, C, A, B, Dの順のときだから、
3+6+5+8+8+6=36
(3) 作業時間が最短となる順
E, A, D, B, Cの順で、
3+6+8+6+4+2=29
[問5]
1から5の5つの数字を重複無く組み合わせた5桁の数字Xを考える。
(1) Xは何通りあるか。31452とハッシュが衝突するXをすべて示せ。
Xは5!=120通り。衝突するのはA[3]=5, A[4]=2のときだから、次の6通り。
13452, 14352, 31452, 34152, 41352, 43152
(2) Xが 12345、および、12354のときのhash2によるハッシュコード
X = 12345 のとき hash2 = 0,
X = 12354 のとき hash2 = 2*1+1*1 = 3
(3) すべてのXに対してのhash2によるハッシュコードは衝突するか。するなら例を1組、しないなら最大値最小値を示せ。
X = 12345 のとき最小値 0,
X = 54321 のとき最大値 4*24+3*6+2*2+1*1+0*1 = 119
平成20年度
[問1]
xy平面において、y=mx (m≠0) に関する対称移動をf、原点のまわりのθの回転移動をgとし、一次変換f,gを表す行列をそれぞれA,Bとする。
(1) 行列A,Bをm,θで表す
(a, b)がAによって(c, d)に移るものとすると、この2点はy=mxに直行する直線y=-(1/m)x+e上にあり、中点はy=mx上にある。
よって、次の関係式を得る。
- b = -(1/m)a+e
- d = -(1/m)c+e
- (b+d)/2 = m(a+c)/2
これを解いて、c=a(1-m
2)/(1+m
2)+2bm/(1+m
2), d=2am/(1+m
2)-b(1-m
2)/(1+m
2)
∴
回転行列
(2) 合成変換g·fを表す行列Fとしてm=2, θ=π/6のときのFを求める
=
(3) g·fの逆変換を表す行列をGとするときF=Gを示す
[問2]
pは素数
(1) iはpより小さい正整数とするとpCiはpで割り切れる
pCi=p·(p-1)!/i!(p-i)!
は整数。
pは素数であり p>i, p>p-i だからi!(p-i)!の因数でpを割り切る数は1以外にない。
(2) 非負整数kについて (k+1)p ≡ kp+1 (mod p)
(1)より 0<i<p について pCi≡0 (mod p) だから
(k+1)p ≡ kp+∑pCiki+1 ≡ kp+1 (mod p)
(3) 任意の自然数nについて np ≡ n (mod p)
n=1のとき np ≡ n (mod p) は明らか。
n=kのとき kp ≡ k (mod p) が成り立つと仮定する。
(2)の結果より (k+1)p ≡ kp+1 ≡ k+1 (mod p) つまりn=k+1のときも成立する。
数学的帰納法より、np ≡ n (mod p) が成り立つ。
[問3]
(1) Aについて1回の発注量をQとしたとき100日間の総経費FをQで表す。初期在庫量は0とする。
(2) Aについて100日間の総経費が最小になるQ
(3) Bについて本日が発注日、本日終了時点で在庫量50、発注残170の場合の適切な発注量
[問4]
(1)
- S → aBC → abC → abc
- S → aSBC → aaBCBC → aaBBCC → aabBCC → aabbCC → aabbcC → aabbcc
{a
nb
nc
n | n>0}
(2) L2={x | x∈(a,b)≠, x=xR}
G2=({S,A,B},{a,b},P,S), P=(S→aB, A→a, B→bB, B→bA), {abna | n>0}
(3) L3={0n1n+1 | nは非負整数}
[問5]
(1)
startn: 0 endn: 7
startn: 0 endn: 3
startn: 0 endn: 1
startn: 0 endn: 0
startn: 4 endn: 7
(2)
平成19年度
[問1]
(1) のとき Jn=(n-1)Jn-2/n を証明
Jn = ∫(cos x)(cosn-1 x)dx
= [(1/n)(cosn x)]-∫(sin x){(n-1)(-sin x)(cosn-2 x)}dx [部分積分]
= (n-1)∫(1-cos2 x)(cosn-2 x)dx [sin2 x = 1-cos2]
= (n-1)∫cosn-2 xdx - (n-1)∫cosn xdx
= (n-1)Jn-2 - (n-1)Jn
∴ Jn=(n-1)Jn-2/n
(2) n=2m (m≥1)のとき、をmで表す
J2m = (2m-1)/2m·J2m-2 = (2m-1)/2m·(2m-3)/(2m-2)·J2m-4 = ∏(2m-1)/∏2m·J0
ここで、J0 = ∫dx = π/2
∴ J2m = ∏(2m-1)/∏2m·π/2
(3) の値
∫cos4 x·sin2 xdx = ∫(cos4 x)(1-sin2 x)dx = ∫cos4 xdx - ∫cos6 xdx = (3/4)(1/2)(π/2) - (5/6)(3/4)(1/2)(π/2) = π/16
[問2]
(1) Aの固有値
|A-tE| = (1-t)(t2-1) = -(t+1)(t-1)2
∴ t=±1
(2) n≥3のとき、An=An-2+A2-Eを示す
より、
A
3 = A+A
2-E
つまりn=3のとき成立する。
A
k = A
k-2+A
2-E (k≥3) を仮定する。
A
k+1 = A
k-1+A
3-A [両辺にAをかける]
A
k+1 = A
k-1+(A+A
2-E)-A
A
k+1 = A
(k+1)-2+A
2-E
よってn=k+1のときも成立する。
数学的帰納法により、A
n=A
n-2+A
2-E (n≥3)
(3) n=2m (m≥1)のときA2mをmで表す
A
2m
= A
2m-2+A
2-E
= A
2+(m-1)(A
2-E)
= mA
2-(m-1)E
=
[問3]
(1)
(2)
(3)
[問4]
(1)
(2)
(3)
[問5]
(1)
(2)
平成18年度
[問1]
f(x) は常に f''(x)>0 とする。y=f(x) 上の点 P(t, f(t)) における法線上の点で PQ=1, Y(t)<f(t) を満たすものを Q(X(t),Y(t)) とする。
(1) Q(X(t),Y(t)) を求めよ。
Qが法線 y=f'(t)(x-t)+f(t) 上にあり、また PQ=1、つまり PQ2=1 であるから、
Y(t) = f'(t)(X(t)-t)+f(t)
(X(t)-t)2+(Y(t)-f(t))2 = 1
これを解いて、X(t) = t±(f'(t)+1)-1, Y(t) = f(t)±f'(t)(f'(t)+1)-1
ここで、Y(t)<f(t) より、
-1<f'(t)<0 のとき、X(t) = t-(f'(t)+1)-1, Y(t) = f(t)-f'(t)(f'(t)+1)-1
f'(t)<-1, 0<f'(t) のとき、X(t) = t+(f'(t)+1)-1, Y(t) = f(t)+f'(t)(f'(t)+1)-1
(2) X'(t)>0 を示せ。
-1<f'(t)<0 のとき、X'(t) = 1+f''(t)(f'(t)+1)-2 = ((f'(t)+1)2+f''(t))(f'(t)+1)-2
(f'(t)+1)2≥0, f''(t)>0 であるから、X'(t)>0
(3) 点Pを動かすとき、点Qの軌跡の方程式は y=g(x) の形で表されるが、このとき f'(x) と g'(x) の大小を比較せよ。
[問2]
(1) 正方行列Aについて、A2=E のとき、次を示せ。[(1/2)(E±A)]n = (1/2)(E±A)
n=1 のとき、明らかに (1/2)(E±A) = (1/2)(E±A)
n=k のとき [(1/2)(E±A)]k = (1/2)(E±A) を仮定する。
[(1/2)(E±A)]k+1 = [(1/2)(E±A)]k(1/2)(E±A) = (1/2)(E±A)(1/2)(E±A) = (1/4)(E±A+A2) = (1/4)(E±A+E) = (1/4)(2E±2A) = (1/2)(E±A)
n=k+1のときも成立。帰納法より、[(1/2)(E±A)]n = (1/2)(E±A)
(2) 正方行列Aについて、A2=O のとき、次を示せ。A(E±A)n = A
n=1 のとき、A(E±A)1 = A±A2 = A
n=k のとき、A(E±A)k = A を仮定する。
A(E±A)k+1 = A(E±A)k(E±A) = A(E±A) = A
n=k+1のときも成立。帰納法より、A(E±A)n = A
(3) 任意の実数 λ について次を示せ。
n=1 のとき …略…
[問3]
Good → Good(90%), Normal(10%)
Normal → Normal(40%), Good(50%), End(10%)
Good:100, Normal:50, End:0
(1) Good 1, Normal 2, End 3 としてiからjに遷移する確率をPijとしたとき推移確率行列P=(Pij)
P11=9/10, P12=1/10, P13=0
P21=1/2, P22=2/5, P23=1/10
P31=0, P32=0, P33=1
(2) t回目の状態=初期状態×Ptとあらわされる。
推移確率行列
とおくとき
となる基本行列Mを求めよ。
M=limt→∞∑Qt, Q=(Qij)
Q11=9/10, Q12=1/10
Q21=1/2, Q22=2/5
(3) Mij は i からスタートして吸収状態に陥るまでに j を通過した平均回数となることから、GoodからスタートしてEndになるまでの平均試技回数とポイント数の期待値を求めよ。
[問4]
薬品Aの売値は1kgあたり6万円、薬品Bの売値は1kgあたり5万円である。
薬品Aを1kg製造するのに原料Pを3t、原料Qを1t消費し、薬品Aを1kg製造するのに原料Pを1t、原料Qを4t消費する。
1週間あたりの使用可能量は、Pは60t、Qは64tしかない。
(1) 薬品A,Bの1週間あたりの製造量をそれぞれ x1, x2 [kg] として制約条件と目的関数を示せ。
3x1+x2≤60
x1+4x2≤64
6x1+5x2=k
(2) 1週間あたりの最大売上とその時の製造量
3x1+x2=60
x1+4x2=64
を解いて、x1=16, x2=12
このとき売上が最大となり、6*16+5*12=156[万円]
(3) Bの売値を変更しても(2)の生産計画を変更する必要がないBの売値の範囲
6x1+bx2=k
-3≤-6/b≤-1/4 であればよい。
1/3≤b/6≤4
∴ 2≤b≤24
[問5]
(1)
(2)
平成17年度
[問1]
(1) x>0 に対して ex>1+x+x2/2 を示せ。
g(x)=ex-(1+x+x2/2) とおく。
g'(x)=ex-(1+x)
g''(x)=ex-1
g''(x)>0, g'(0)=0 より、g'(x)>0
また、g(0)=0 であるから g(x)>0
つまり、ex>1+x+x2/2
(2) limx→∞ x/ex の収束、発散
x>0 に対して 0<x/ex は明らか。
(1)より、x/ex < x/(1+x+x2/2) = (1/x)/(1/x2+1/x+1/2) → 0 (x→∞)
したがって、はさみうちの定理より、limx→∞ x/ex=0
(3) f(x) = e1/(-|x|) (x≠0), 0 (x=0) のとき、x=0 における f(x) の微分可能性と連続性
limx→0 f(x) = 0 だから x=0 で連続。
(f(h)-f(0))/h = e1/(-|h|)/h → 0 (h→0) よって、x=0 で微分可能 f'(0)=0
[問2]
球面 x2+y2+z2=1 上に点 P(a,b,c) がある。a,b,c は正の数とする。
(1) 点Pにおいて球面と接する平面の方程式
法線ベクトルが(a,b,c)で、点Pを通るから、a(x-a)+b(y-b)+c(z-c)=0
∴ ax+by+cz=1
(2) 上記平面とx,y,z軸が交わる点をそれぞれA,B,Cとする。三角形ABCの面積
A(1/a,0,0), B(0,1/b,0), C(0,0,1/c) より、
三角錐A-OBCの体積は (1/3)*(1/2)(1/b)(1/c)*(1/a) = 1/(6abc)
これを三角錐O-ABCとして見るとABCの面積をSとして、(1/3)*S*1 = 1/(6abc)
∴ S=1/(2abc)
(3) 点Pが、平面 2x-y=0 と球面の交線上を動くとき、ABCの面積の最小値
a2+b2+c2=1, 2a-b=0 より、
b=2a, a2=(1-c2)/5
よって、S = 1/(2abc) = 1/(4a2c) = 5/(4(1-c2)c)
Sが最小となるのは f(c)=(1-c2)c (0≤c≤1) が最大のとき。
f'(c)=-3c2+1, f'(c)=0 を解いて c=1/√3
∴ Smin = 5/(4(1-(1/3))(1/√3)) = 15√3/8
[問3]
原料 A, B, C から製品 X, Y を製造する。X を 1kg 製造すると 10,000 円、Y を 1kg 製造すると 5,000 円の利益がある。
A は 5kg あり、X を 1kg 製造するのに 5kg、Y を 1kg 製造するのに 4kg 必要となる。
B は 4kg あり、X を 1kg 製造するのに 5kg、Y を 1kg 製造するのに 1kg 必要となる。
C は 2kg あり、X を 1kg 製造するのに 1kg、Y を 1kg 製造するのに 2kg 必要となる。
(1) 最大利益を求める。Xの製造量を x[kg]、Yの製造量を y[kg] として制約条件と目的関数を示せ。
5x+4y ≤ 5
5x+y ≤ 4
x+2y ≤ 2
10000x+5000y = k
(2) 最大利益とそのときのXとYの製造量
5x+4y = 5, x+2y = 2 を解いて、(1/3, 5/6)
10000*(1/3)+5000*(5/6) = 7500
(3) Ⅹ、Yに加えZという製品も製造する場合を考える。Zを1kg 製造すると 6,000 円の利益があり、Zを1kg 製造するのに原料Aを2kg、原料Bを3kg、原料Cを1kg 必要とする。
最大利益とそのときのX、Y、Zの製造量を求めよ。なお、X、Y、Zの製造量は0以上の実数値をとるものとする。
5x+4y+2z ≤ 5
5x+y+3z ≤ 4
x+2y+z ≤ 2
10000x+5000y+6000z = j
[問4]
(1)
(2)
(3)
[問5]
(1)
(2)