労基B
平成22年度 労働基準監督B 試験問題の一部を掲載。マウスが乗ったときに色が変わるものが正答。
教養
No.1~No.25は必須。No.26~No.55のうち20題を選択。試験時間は3時間。
必須
No.1
近年における気象・天文観測に関する次の記述として最も妥当なのはどれか。
- 都心部の気温が郊外よりも高い状態になるヒートアイランド現象が顕著になっている。これは、人工物や人工排熱の増加等により地表面の熱収支が変化することによって起きるもので、東京では、年平均気温が100年当たり約3°C上昇している。近年、都市部で発生している局地的な大雨も、ヒートアイランド現象との関連が指摘されている。
- 秋口から冬にかけて東アジアの砂漠域から飛来してくる黄砂の観測量が年々増加しており、2008年には北海道でも初めて黄砂が観測された。黄砂は、実際には無色に近い砂の粒子であるが、目の痛みや吐き気など、人体にも影響を及ぼすとされる。環境省と気象庁は、2010年から共同で黄砂情報提供業務を行うことにしている。
- 人体に有害な紫外線を上空で吸収するはたらきをもつオゾン層の破壊が世界的に進んでいる。衛星観測データによると、世界の大気中のオゾン全量は1990年代後半からの現象が著しく、日本上空のオゾン層についても、2050年頃に消滅するおそれがあるとされている。オゾンの現象を食い止めるため、二酸化炭素排出量の削減が急務となっている。
- 2009年7月、奄美大島、屋久島などにおいて太陽が月によって全部隠される「皆既日食」が観測され、その他の西日本全域において月の周りから太陽がはみ出して見える「金環日食」が観察された。日本の陸地で皆既日食が観察されたのは16年ぶりであったが、次回は2017年5月、関東・中部地方の一部において皆既日食を観察できる。
- 気象衛星は、世界の主要先進国によって共同管理・運用されており、北半球においては、現在は5基体制となっている。そのうちの1基「かぐや(SELENE)」は、我が国が開発して打ち上げた気象衛星であるが、2009年6月に耐用年数を経過し、その役割を終えて空中分解した。
No.2~No.55
以下、略
専門(多肢選択)
No.1~No.8は必須。No.9~No.48のうち32題を選択。試験時間は2時間30分。
必須
No.1
我が国の就業に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
- 総務省「労働力調査」及び厚生労働省「労働経済白書」により、雇用者数の増加率(年率換算)に対する産業別の寄与度をみると、1990年代(1990年~2002年)では建設業のほか、サービス業、運輸・通信業も減少に寄与している。
- 総務省「労働力調査」により、平成20年の労働力人口をみると、高齢化や景気後退を背景に、4年連続して減少し、約6,650万人となった。また、同年の雇用者数数も2年連続で減少し、約5,500万人となった。
- 総務省「労働力調査」により、雇用者数(非農林業)の動きを従業員規模別にみると、平成20年は、100人未満の小規模企業では前年よりも減少している一方、500人以上の大企業では前年よりも増加しており、大企業と中小企業での雇用動向の隔たりがあるといえる。
- 総務省「労働力調査」により、若年無業者(15~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者)数の推移をみると、平成19年まで4年連続して前年よりも増加していたが、平成20年は大幅に減少し約150万人となった。
- 総務省「毎月勤労統計調査」により、500人以上の大規模事業所における入職と離職の動向をみると、平成3年からの景気後退過程では、入職率が上昇傾向で推移する一方で離職率の上昇がみられたが、平成12年からの景気後退過程では、入職率、離職率ともの大幅な低下がみられた。
No.2
我が国の雇用失業情勢に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
- 総務省「労働力調査」によると、平成20年の完全失業者数は、非自発的失業者の増加等により、263万人と6年連続で増加した。また、非自発的失業者の増加(前年同期差)を雇用形態別にみると、平成20年10~12月期では、前職がパート・アルバイトであった者の増加が最も大きくなっている一方、派遣労働者であった者の増加は比較的小さくなっている。
- 有効求人倍率(季節調整値)の動きをみると、平成19年央以降に低下傾向となり、平成20年初めには1倍を切るなど急速に悪化していった。また、平成3年2月~平成5年10月までのそれを上回った。
- 平成20年における新規求人数を産業別にみると、世界的な景気後退に伴い製造業での雇用過剰感が高まったことなどを背景に、全産業で前年よりも減少したが、減少幅が20%を超える大きな減少は製造業のみであった。
- 総務省「労働力調査」によると、15~24歳層の若年者の完全失業率は、平成10年頃から低下傾向で推移していたが、平成17年以降上昇に転じ、平成20年も、前年に引き続き上昇した。一方、55~64歳層の完全失業率は、平成10年頃から平成20年頃まで上昇傾向が続いている。
- 有効求職者数の動きを給食理由別にみると、事業主都合離職率は、平成19年中に対前年比で増加し始めたが、平成20年の年央から多くの事業所で雇用調整が実施されたことを背景に、同年後半から増加幅がさらに急速に拡大した一方、自己都合離職者は平成19年から対前年比で大幅に減少を続けた。この結果、平成20年12月の有効求職者数は対前年比で減少となった。
No.3
我が国の労働時間に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、平成20年の総実労働時間は、事業所規模5人以上の調査が始まった平成2年以来始めて2,000時間を割り込んだ。また、就業形態別にみると、一般労働者の平成20年の総実労働時間は、前年比で減少となったが、パートタイム労働者のそれは前年比で2.0%の増加となった。
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、所定内労働時間の対前年比をみると、平成18年に数年ぶりに増加したものの平成19年、20年と2年連続で減少した。平成20年についてみると、すべての企業規模で所定内労働時間が減少した。
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査」により、平成20年の所定外労働時間を産業別にみると、情報通信業、金融・保険業などで前年比で減少に転じたが、製造業においては引き続き前年比で増加したため、産業別では前年比0.3%の増加となった。
- 厚生労働省「平成21年就労条件総合調査」によると、みなし労働時間制を採用している企業の割合は、平成17年から平成20年まで、年々上昇している。また、この割合を平成20年について企業規模別にみると、100人未満の規模の割合が、1,000人以上の企業の割合を上回っている。
- 厚生労働省「平成21年就労条件総合調査」によると、「何らかの週休2日制」を採用している企業の割合(企業規模計)は、平成21年では8割未満となっているものの、その割合は上昇傾向にある。また、平成21年において「完全週休2日制」を採用している企業の割合は、1,000人以上の規模では9割を超えている。
No.4
労働安全衛生法に関する記述A~Dのうちから、妥当なもののみをすべて選び出しているのはどれか。
- 事業者は、事業場の業種にかかわらず、常時50人以上の労働者を使用する場合には、安全委員会を設けなければならない。
- 第11次労働災害防止計画は、平成20年度を初年度とし、平成29年度を目標年度とする10か年計画である。
- 労働安全衛生法は、事業者の債務のみならず、機械を設計する者に対し、その機械が使用されることによる労働災害の防止に資する努力義務をも課している。
- 我が国の労働災害による死亡者数は、平成20年に初めて1,000人を下回った。
- A
- A, B
- B, D
- C
- C, D
No.5
危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)に関する記述A~Dのうちから、妥当なもののみをすべて選び出しているのはどれか。
- リスクアセスメントは、既に設置している機械設備等については実施が免除される。
- リスク低減措置を講ずる優先度を決定するためのリスクの見積りは、発生するおそれのある負傷又は疾病の重篤度のみが考慮される。
- リスク低減措置である「危険な作業の廃止・変更」、「工学的対策」、「管理的対策」、「個人用保護具の使用」のうち、優先順位が最も高いのは、「個人用保護具の使用」である。
- 労働安全衛生マネジメントシステムが求める、安全衛生目標の設定、安全衛生計画の作成・実施等の多くは、リスクアセスメントの結果に基づいて行われる。
- A, B
- A, C
- B, D
- C
- D
No.6
労働者の指標に関する記述A~Dのうちから、妥当なもののみを二つ選び出しているのはどれか。
- 15~24歳、25~34歳、35~44歳、45~54歳、55~64歳のうち、平成20年の完全失業率が最も高い年齢階級は55~64歳である。
- 女性の年齢階級別労働力率、いわゆるM字カーブの最近40年間の年次推移をみると、M字の谷間は、20歳台後半から30歳台に移行した。
- 平成20年の、常用労働者が30人以上の民営企業における年次有給休暇取得率は、6割を超えている。
- OECD資料によると、我が国の平成19年の労働者(パートタイム労働者を含み、自営業者は除く。)一人平均年間総実労働時間は、イギリス、ドイツ、フランスのいずれをも上回っている。
- A, B
- A, C
- A, D
- B, D
- C, D
No.7
労働安全衛生に関する記述A~Dのうちから、妥当なもののみを二つ選び出しているのはどれか。
- 平成16~20年の5年間の業務上疾病者数(休業4日以上)は、昭和59~63年の5年間と比べて増加している。
- 平成20年の疾病分類別業務上疾病者数(休業4日以上)において、負傷に起因する疾病に分類されたもののうち、最も多かったのは骨折である。
- 平成20年の業務別死亡災害発生状況をみると、建設業における死亡者数は、製造業における死亡者数を上回っている。
- 平成19年の、将来の健康状態に対して不安をもっている労働者の割合は、平成14年と比べて増加している。
- A, B
- A, C
- A, D
- B, D
- C, D
No.8
次のA~Eの業務のうちから、
労働安全衛生法で義務付けられた特殊健康診断の対象となる業務をすべて選び出しているのはどれか。
- 暑熱・寒冷環境下の業務
- 石綿を取り扱う業務
- 潜水業務
- 有機溶剤を取り扱う業務
- 高圧室内業務
- A, B, C, D
- A, B, E
- A, C, D, E
- A, C, E
- B, C, D, E
選択
No.9
3次関数 f(x)=x3+3ax2+bx+c について、極値をもつための必要十分条件として正しいのはどれか。
- b < 3a2
- b < 12a2
- b > 12a2
- 4b < 3a2
- 4b > 3a2
No.10
行列
について、A
6として正しいのはどれか。
[以下、選択肢 略]
No.11
一辺の長さが1の正五角形ABCDEにおいて、|BE|の値はいくらか。
なお、
である。
No.12
数列{an}において、limn→∞ (5n+2)an = 3 のとき、limn→∞ nan の値はいくらか。
No.13
とするとき、
の値はいくらか。
ただし、
i は虚数単位とする。
なお、ド・モアブルの定理は次のとおりである。
No.14
曲線 y=lnx, x軸, y軸及び直線 y=2 で囲まれる部分の面積はいくらか。
No.15
関数
(x≠1) が x=2 で極値をとるとき、a はいくらか。
No.16
図のように、道が縦横に直交している地域がある。地点Aから地点Bまでの最短経路で、地点Cを通らない経路は何通りか。
No.17
さいころを振ったとき、奇数と偶数が同じ程度に出るかどうか判断したい。奇数、偶数の出る確率が」それぞれ2分の1であるという仮説を立てて、10回振った結果により検定することにした。危険率を5%としたとき、奇数の出た回数について、この仮説が棄却されるすべての場合を記載したものとして最も妥当なものはどれか。
なお、危険率5%では、確率分布の両端のそれぞれについて、この確率が2.5%以下となるように棄却域を定める。また、210=1024 である。
- 奇数の出た回数が、0回、10回
- 奇数の出た回数が、0回、1回、9回、10回
- 奇数の出た回数が、0回、1回、8回、9回、10回
- 奇数の出た回数が、0回、1回、2回、3回、7回、8回、9回、10回
- 棄却される場合は無い
No.18
水平な床の上の点Aから床とのなす角 θ=60° で投げられtた小球が、最高点Bに達した。最高点Bの高さHが床から10mであるとき、小球の初速 v0 はおよそいくらか。
ただし、空気による抵抗は無視できるものとし、重力加速度の大きさを10m/s2とする。
No.19
質量と伸縮を無視できる長さ l の糸に質量 m の小球を付け、天井につり下げて円錐振り子とした。糸は質量 √2m の小球を静かにつり下げるとちょうど切断する強度をもつものとする。小球の円運動の速度を緩やかに増加させていったところ、糸の張力がちょうど限界値になって糸が切れた。糸が切れたときの小球の円運動の角速度として最も妥当なものはどれか。
No.20~No.28
略
No.29
天然の放射性元素
は、何回かのα崩壊やβ崩壊を繰り返した後に鉛になる。この鉛として最も妥当なのはどれか。
なお、α崩壊では
が放出され、β崩壊では原子核中の中性子が陽子に変わるときに主に電子が放出される。
No.30
ある気体に熱量20Jを与えると、圧力は2.0×105Paで一定のまま、体積が40cm3増加した。気体の内部エネルギーの増加量はおよそいくらか。
No.31
500m/sの速さで飛んでいる50℃、100gの鉛製の砲弾が0℃の氷に命中して止まった。この砲弾のエネルギーがすべて熱に変換されるとき、融解する氷の質量はおよそいくらか。
ただし、氷の融解熱を336J/g、鉛の比熱を0.13J/(g·K)とする。また、氷は十分大きく静止し続け、砲弾は回転していないものとする。
No.32
水を入れた管における気中の共鳴実験で、ある音叉を管口で鳴らしながら管内の水面を下げると、水面が管口から18.0cm、55.0cm、92.0cmのときに共鳴した。この音叉の振動数はおよそいくらか。
No.33
水と石英ガラスが接するとき、水に対する石英ガラスの相対屈折率はおよそいくらか。
ただし、水及び石英ガラスの絶対屈折率をそれぞれ、1.33、1.46とする。
No.34~No.39
略
No.40
濃度が不明である塩酸250mLと0.0010mol/Lの水酸化カリウム水溶液250mLを混合したところ、溶液のpHは2.0であった。混合する前の塩酸の濃度はおおよそいくらか。
ただし、混合における体積の変化は無く、溶液中の塩化水素の電離度を1.0とする。
No.41
次の化学変化のうち、下線部の物質が酸化剤として働いているものはどれか。
- CuSO4 + H2S → CuS + H2SO4
- NaOH + Al(OH)3 → Na[Al(OH)4]
- H2SO4 + NaCl → NaHSO4 + HCl
- Pb + PbSO2 + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O
- 2HCl + Fe → FeCl2 + H2
No.42
2枚の白金板を電極とし、一定の電流9.65×10-2Aで硫酸銅(II)水溶液を電気分解した。陰極に3.60×10-3molの銅を析出させるのに必要な時間はおよそいくらか。
ただし、生成する銅は陰極上にすべて析出するものとし、ファラデー定数を9.65×104C/molとする。なお、1Cは、1Aの電流が1秒間流れたときに運ばれる電気量である。
No.43
クロム、マンガン及び鉄のすべてに当てはまる記述として最も妥当なのはどれか。
- 酸化数の異なる複数の化合物をつくる。
- 典型元素である。
- 水溶液中のイオンには無色のものが多い。
- 両性元素である。
- 単体は希塩酸とは反応しない。
No.44
硫酸酸性の過酸化水素水にヨウ化カリウム水溶液を加えたときの反応に関する記述A、B、Cのうち、妥当なもののみをすべて選び出しているのはどれか。
- 反応後の溶液のpHの値は反応前と比較して変化しない。
- 反応中に水素が発生する。
- 反応後の溶液をデンプン水溶液に加えると青紫色を呈する。
- A
- A, B
- A, C
- B, C
- C
No.45
エチレンに関する次の記述の打ち、最も妥当なのはどれか。
- メタノールと濃硫酸を混合して加熱すると主にエチレンが生成する。
- エチレンを臭素水に通じると臭素水の色が消える。
- エチレンが付加重合するとポリエステルになる。
- エチレンに塩素を付加させると主に1,1-ジクロロエタンが生成する。
- エチレンに水を付加させると主にエチレングリコールが生成する。
No.46
有機化合物に関する次の記述A、B、Cに当てはまる化合物の組合せとして最も妥当なのはどれか。
- 酸化するとホルムアルデヒドを生成するアルコール
- 還元すると2-ブタノールを生成するケトン
- アセトアルデヒドを酸化すると生成するカルボン酸
A B C
- CH3OH CH3COCH3 CH3CH2COOH
- CH3OH CH3COCH2COCH3 CH3COOH
- CH3OH CH3COCH2COCH3 CH3CH2COOH
- CH3CH2OH CH3COCH3 CH3CH2COOH
- CH3CH2OH CH3COCH2CH3 CH3COOH
No.47
グリセリンと不飽和脂肪酸のオレイン酸(C17H33COOH)からできているトリグリセリド(油脂A)と、グリセリンと不飽和脂肪酸のリノール酸(C17H31COOH)からできているトリグリセリド(油脂B)がある。油脂A、Bそれぞれ1molに触媒を加えて水素と反応させ、構成脂肪酸をすべて飽和脂肪酸であるステアリン酸にするとき、油脂Aと反応する水素の物質量 nA と油脂Bと反応する水素の物質量 nB の比 nA : nB として最も妥当なのはどれか。
nA : nB
- 1 : 2
- 1 : 3
- 2 : 3
- 3 : 4
- 3 : 5
No.48
環境に関する記述A~Eのうちから、妥当なもののみをすべて選び出しているのはどれか。
- オゾン層の破壊により、札幌、那覇で平成20年に観測された有害紫外線量は、いずれも平成3年の観測値の10倍以上となっている。
- IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度増加によってもたらされた可能性が非常に高い」と報告している。
- 我が国におけるダイオキシンの一人一日当たりの摂取量は、大気・土壌・食物のうち、食物からのものが最も多い。
- 平成18年度末時点の我が国において、廃棄物の最終処分場の残余年数は、産業廃棄物、一般廃棄物とも約50年となっている。
- 河川の水質汚濁の一般指標として用いられる生物化学的酸素要求量(BOD)は、値が大きいほど一般に水質汚濁が進んでいることを示す。
- A, D
- A, D, E
- A, E
- B, C, D
- B, C, E
専門(記述式)
No.1は必須。No.2~No.6のうち1題を選択。試験時間は2時間。
必須
No.1
- 18世紀後半にイギリスで始まった産業革命は、工業化を招くことで世界の産業及び経済の構造を大きく転換したといわれるが、産業革命において起こった事柄を一つ挙げ、それが労働者の安全又は健康面に及ぼした影響について5行以内で述べよ。
- 我が国の戦後の産業政策は、1950年代の鉄鋼や石油化学などの重化学工業に対するものに始まり、1960年代以降は自動車産業や電気機械産業などの加工組立型産業に対して、近年ではIT産業や環境関連の産業に対して、政府の支援や規制という形で行われてきた。このような産業政策を一つ挙げ、その政策を実施する理論的根拠を5行以内で述べよ。
- 1985年のプラザ合意以降の急速な円高、貿易摩擦の激化、国内の高コスト構造等により、我が国の企業の海外展開が進行したといわれる。このような企業の海外展開に伴う国内の産業への長期的な影響に関して、正の影響若しくは負の影響のいずれかについて5行以内で述べよ。
- ISO(国際標準化機構)は、様々な分野の標準化を推奨する非政府間国際機構である。ISO規格のうちISO9000シリーズは、品質管理に関する要求事項の標準化を目的としたものである。このISO9000シリーズの特徴はプロセス重視の手続といわれるが、プロセス重視の手続について、従来の品質管理手法と比較した上で、そのメリットを5行以内で述べよ。
- 2007年をピークとするいわゆる団塊の世代の一斉退職に伴う問題とその対処法について、労働安全衛生の観点から以下のキーワードを用いて5行以内で説明せよ。
【キーワード】労働安全衛生マネジメントシステム、ノウハウの継承
選択
No.2
表は、平成20年度に、脳・心臓疾患について労働災害と認定され、労災の支給が決定した377件のうち、「長期間の過重業務」により支給決定された件数を、時間外労働時間数別に示している。これによると、「件数」、「うち死亡」ともに、9割以上が、月平均の時間外労働時間が80時間以上であり、半数以上の事例が100時間以上である。このことから、最近、業務上の脳・心臓疾患の発生を防止する対策の一つとして、過重労働による健康障害の防止対策は非常に重要と考えられている。
- この表の死亡事例のように、過度な労働負担が原因となって、高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化し、脳血管疾患や虚血性心疾患、急性心不全などを発症し、死に至った状態を、一般になんと呼ぶか。漢字3文字で答えよ。
- 時間外・休日労働時間が月100時間を超える労働者に対する健康管理対策として、平成18年に改正された労働安全衛生法に盛り込まれた、事業者が講ずべき措置は何か。措置の内容を、希望する該当労働者に対して「(誰)による(何)を実施する」と記せ。
- 過重労働による健康障害の防止対策として、(2)以外に、事業者が講じるよう求められている措置にはどのようなものがあるか。職場環境改善に関するものを三つ箇条書きにせよ。
- 長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保する観点から、労働時間に係る制度についての見直しを行う「労働基準法の一部を改正する法律」が平成20年12月12日に公布され、平成22年4月1日から施行された。この改正内容を3行以内で記せ。
[表は省略]
No.3
- 図Iのように、断面積及びヤング係数の一様な長さ l の棒ABの両端を固定し、点C、Dに軸方向力 P1、P2 (P1<P2) を作用させるとき、端A、Bに生じる反力 Ra、Rb を求めよ。
図I
- 図IIのように、点Cをヒンジ断面とする静定ラーメンに鉛直荷重Pが作用している。以下の問いに答えよ。
図II
- 点Aにおける水平反力 Ha、鉛直反力 Ra、点Eにおける水平反力 He、鉛直反力 Re をそれぞれ求めよ。
- 曲げモーメント図を示せ。ただし、曲げモーメントは図IIIに表した向きを正とし、図中に点A~Fそれぞれにおける曲げモーメントの値と正負を明示すること。
図III
- 図IVのように、曲げ剛性 EI の梁に単位長さ当たり q の等分布荷重が作用している。以下の問に答えよ。
図IV
- 点Aから右向きに x 軸をとる。点Aでの鉛直方向の反力を F として、梁上の点Cでの曲げモーメント M(x) を求めよ。ただし、曲げモーメントは図Vに表した向きを正とする。
図V
- 点Cでのたわみを鉛直下向きに y とするとき、たわみ曲線 y に関する微分方程式を示せ。
- (ii)の微分方程式を積分し、x = 0、l における境界条件から、積分定数及び F を求めて、y を求めよ。
No.4
真空中における電流と磁場に関する以下の設問に答えよ。
ただし、真空の透磁率を μ0 とし、導線の太さは考えないものとする。
- 無限に長い直線状導線に流れる電流に関する以下の問いに答えよ。
- 電流 I1 が流れているとき、導線から距離 r1 における磁界の強さを求めよ。
- 2本の導線が、距離 r2 を隔てて平行に置かれ、それぞれに電流 I2, I3 が同じ向きに流れている。一方の導線に流れる電流が他方の導線の長さ l1 の部分に流れる電流に作用する力の大きさを求めよ。また、作用する力の向きを述べよ。
- Biot-Savart(ビオ・サバール)の法則について簡潔に説明せよ。
- 図のように、長さ l2 の2本の直線状導線A、Bが、間隔 r3 を隔てて平行に置かれ、それぞれに電流 I4, I5 が同じ向きに流れている。電流 I4 によって導線B上の点Pに発生する磁界の強さが次式で与えられるとき、以下の問いに答えよ。ただし、途中の導出過程を示すこと。
- 導線B上の点Pを流れる微小な長さの電流 ds に作用する力の大きさを求めよ。
- 導線A、Bを流れる電流の間に作用する力の大きさを求めよ。
No.5
元素分析に関する以下の設問に答えよ。ただし、数値を求める設問では、その計算過程を示せ。また、原子量は C=12.0、H=1.00、O=16.0 とする。
- 図の装置を使って炭素、水素及び酸素のみからなる化合物の元素分析を行うとき、X、Y、Zにはソーダ石灰、塩化カルシウム、酸化銅(II)のいずれかの物質が一つずつ入る。以下の問いに答えよ。
- X、Y、Zに入れておく物質名を記せ。また、それぞれの役割を記せ。
- 塩化カルシウムと酸化銅(II)の化学式を記せ。
- 炭素、水素及び酸素のみからなる化合物Aがある。図の装置を使って化合物A 18.5mg を完全に燃焼させて、二酸化炭素 55.0mg、水 13.5mg を得た。以下の問いに答えよ。
- 化合物A 18.5mg に含まれている炭素と水素の質量[mg]はそれぞれいくらか。有効数字3桁で求めた。
- 化合物Aの組成式を求めよ。
- 化合物Aは気体のとき、その密度が同温・同圧における気体の酸素の密度の4.63倍であった。化合物Aの分子量を有効数字3桁で求めよ。
- 化合物Aは、[1]不斉炭素原子をもたず、[2]ベンゼンの水素原子一つを置換基で置き換えた構造をしている。ベンゼン環を除いた部分は、[3]原子が環状につながった構造は含まず、[4]炭素-炭素二重結合を含まない。[1]~[4]をすべて満たす構造をもつ化合物A(略記しても内容が分かる場合は略記した構造式)をすべて記せ。また、銀鏡反応を示すと考えられる物については、該当するすべての構造式を丸で囲め。
No.6
- 放物線 y=2x2 と点A(1, 3)について以下の問の答えよ。
なお、
は証明なしに用いてよいものとする。
- 点Aを通る傾き m の直線の方程式を m を用いて示せ。
- 放物線と(i)の直線が交わる点の x 座標をそれぞれ α, β (α<β) とするとき、以下についてそれぞれ m を用いて示せ。
- α+β
- αβ
- (β-α)2
- 放物線と(i)の直線で囲まれる面積 S を α, β を用いて示せ。
- 面積 S を m を用いて示せ。
- 面積 S を最小とする m を求めよ。また、そのときの面積 Smin を求めよ。
- xy 平面上を運動する点Pの時刻 t における座標が、
,
であるとする。以下の問いに答えよ。
- 速度ベクトルを求めよ。
- 加速度ベクトルを求めよ。
- 加速度の大きさが最小となる時刻 T を求めよ。
- t=0 から t=T までの間に点Pが動く距離を求めよ。
解答
人事院で掲載されたものを転記。
教養
問題 | 正答 | 問題 | 正答 | 問題 | 正答 |
1 | 1 | 21 | 5 | 41 | 5 |
2 | 2 | 22 | 2 | 42 | 3 |
3 | 3 | 23 | 2 | 43 | 2 |
4 | 1 | 24 | 4 | 44 | 4 |
5 | 2 | 25 | 4 | 45 | 1 |
6 | 5 | 26 | 2 | 46 | 4 |
7 | 2 | 27 | 4 | 47 | 5 |
8 | 3 | 28 | 3 | 48 | 3 |
9 | 2 | 29 | 5 | 49 | 3 |
10 | 4 | 30 | 4 | 50 | 5 |
11 | 1 | 31 | 2 | 51 | 4 |
12 | 1 | 32 | 1 | 52 | 3 |
13 | 5 | 33 | 1 | 53 | 4 |
14 | 4 | 34 | 5 | 54 | 5 |
15 | 4 | 35 | 4 | 55 | 1 |
16 | 1 | 36 | 5 |
17 | 2 | 37 | 2 |
18 | 2 | 38 | 1 |
19 | 1 | 39 | 3 |
20 | 4 | 40 | 3 |
専門
問題 | 正答 | 問題 | 正答 | 問題 | 正答 |
1 | 3 | 21 | 3 | 41 | 5 |
2 | 2 | 22 | 1 | 42 | 4 |
3 | 2 | 23 | 5 | 43 | 1 |
4 | 4 | 24 | 1 | 44 | 5 |
5 | 5 | 25 | 5 | 45 | 2 |
6 | 4 | 26 | 4 | 46 | 2 |
7 | 5 | 27 | 2 | 47 | 1 |
8 | 5 | 28 | 2 | 48 | 5 |
9 | 1 | 29 | 4 |
10 | 2 | 30 | 3 |
11 | 4 | 31 | 3 |
12 | 3 | 32 | 2 |
13 | 1 | 33 | 3 |
14 | 1 | 34 | 3 |
15 | 3 | 35 | 2 |
16 | 2 | 36 | 1 |
17 | 2 | 37 | 1 |
18 | 4 | 38 | 4 |
19 | 2 | 39 | 5 |
20 | 3 | 40 | 3 |