きったんの頭

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微積分学

微積分学の導入

1.6 千の光点

本書の裏表紙のグラフは y = sin n を表している。これは y = sin x とかなり違う。sin x のグラフは1本の連続曲線だ。x = 10,000 に達するまで曲線は 10,000/2π 回上下する。この1591の振動は非常に混み合っているので、何も見えないだろう。sin n のグラフはその曲線から10,000個の点を抜き出している—そしていくつかの理由から40以上の分離したサイン曲線上にあるように見える。

2つめのグラフは最初の1000個の点を表している。サイン曲線上にあるように見えない。多くの人には六角形に見える。しかし同じ千個の点なのだ! その2つのグラフが同じだとは信じ難いが、どうするか習った。2つめのグラフを傾け、狭い角度の側から見る。これで1つめのグラフが現れる。「ダイアモンド」を見ている。狭い角度はx軸を圧縮する—1つめのグラフの大きさ (scale) に戻る。

[graph 1,2]

大きさの影響は考えないものだ。地図でそれを理解している。コンピュータは拡大や縮小できる—これらは大きさの変化だ。目に見えるものは「近く (close)」にあるものに依存する。 10,000個の点のグラフの中にサイン曲線が見えるように思う。いくつかの疑問が生じる:

  1. どの点が (0, 0) に近いか?
  2. そこにいくつのサイン曲線があるのか?
  3. 真ん中は(0, 0)から上に向かってどこで曲がり、ゼロに戻る?

(0, 0)近くの点は本当に sin n がゼロに近いことを意味する。それは確かに sin 1 (1 はラジアン!) の真実ではない。実際 sin 1 は軸の上 0.84 にあり、7番目のサイン曲線の出発点にある。同様に sin 2 は 0.91で sin 3 は 0.14 だ。(3 と 0.14 は n について考えさせる。3 のサインは π − 3 のサインに等しい。従って sin 0.14 は 0.14 に近い。) 同様に sin 4, sin 5, ... , sin 21 は特にゼロに近くはない。

最初に近づく点は sin 22 だ。これは 22/7 が π に近いからだ。従って 22 は、そのサインがゼロになる 7π に近い:

sin 22 = sin (7π − 22) ≈ sin (− 0.01) ≈ &minus 0.01.

それが (0, 0) の右に来る最初の点であり、わずかに下にある。グラフ1で見ることができ、グラフ2でよりはっきり見ることができる。下へ曲がり始める。

次に近づく点は sin 44 だ。これは 44 が 14π のほんの少し先だからだ。

44 ≈ 14π + 0.02   だから   sin 44 ≈ sin 0.02 ≈ 0.02.

この点 (44, sin 44) は真ん中のサイン曲線を出発する。次は (88, sin 88) だ。

これで少しわかった。44の曲線がある。それらは高さ sin 0, sin 1, ... , sin 43 に近づき始める。これら44の曲線のうち、22は上へ出発し、22は下へ出発する。私は42の曲線しか見つけられなかったので、初めは混乱した。その理由は sin 11 が −0.99999 に等しく sin 33 が 0.9999 に等しいからだ。これらは底と頂上が非常に近いので見れない。sin 22 がゼロに近いので 11 のサインは −1 に近い。てっぺんを過ぎた1つの曲線を追うのはほぼ不可能だ—戻ってみると思っていたのと違う曲線になる。

真ん中の曲線上の点は n = 0 と 44 と 88 とすべての 44N にある。その曲線はどこでゼロに戻るか?言い換えると、44Nがπの倍数に非常に近くなるのはいつか? 44 は 14π + 0.02 と知っている。より正確には 44 は 14π + 0.0177 だ。そこで π に達するまで 0.0177 を掛ける:

N = π/0.0177 ならば 44N = (14π + 0.0177)N = 14πN + π.

これは N = 177.5 を与える。その点で 44N = 7810 だ。これはサイン曲線の半周期だ。7810のサインは非常にゼロに近い。

真ん中のサイン曲線を辿っていくと7810を越えたところでゼロに近づくだろう。実際の点は n = 44 · 177 と n = 44 · 178 で、ゼロよりわずかに上にある点と下にある点だ。中間は n = 7810 だ。真ん中のサイン曲線の方程式は y = sin (πx/7810) だ。その周期は 15,620—グラフをはみ出している。

  真ん中のサイン曲線上の4つめの点は sin 3 から下りてくる4つめの点と同じに見える。この「二重の点」は何か?
答   44 の 4 倍は 176 だ。上がっていく曲線上の点は (176, sin 176) だ。下がっていく曲線上では (179, sin 179) だ。176 と 179 のサインは 0.00003 しか違わない。

2つめのグラフはこの二重の点を広げている。六角形の中心にある 176 と 179 を見よ。グラフ2をわたるすべてのサイン曲線を辿ることができる。

ほんの少しの問題が残っている。なぜグラフ2に六角形が現れるのか?私には分からない。自身の目で見てほしい。この六角形を理解するためにダグ・ハーディン (Doug Hardin) 氏はサイン曲線と同様に直線の点を抜き出した。グラフ3は y = n/2πの分数部分(fractional part of) を示している。それから彼は2つめのコピーをとり、ひっくり返し、上に置いた。それでグラフ4が出来る—六角形を伴う。グラフ3と4は次にある。

[graph 3,4]

これはモアレ模様 (Moiré pattern) と呼ばれる。グラフ3の透明のコピーを手に入れ、元のグラフにゆっくり重ねれば、六角形が見つかるだろう。これらは周期的な模様の干渉から来ている—今の場合は 44/7 と 25/4 と 19/3 は 2π に近い。カラーがないとき、この干渉はコピー機の敵だ。TVの縦縞の原因にもなり得る。また布地を作るときには、モアレ模様が動いて見えてめまいがする。工学と目の素晴らしい研究があるのだが、しかし微積分学に戻らなければならない。